北の街 −軍人編−


 俺は熊を大きく突き上げ、その奥に精液を吐き出した。
体の力を抜き、熊の上に覆い被さる。
 他の男娼なら、くちづけを求めたり抱きしめられたがる。
この熊はそういうところが全くない、俺の生活の上で数少ない「お気に入り」の一つだった。
この先の事を考えると頭が痛む。
好きでもないのに結婚した妻は、おそらく今ごろ家で別の男に抱かれているのだろう。
仕事も上手くいってはいない。最近は毎週のように、「視察」をしに少佐がくる。
仕事も家庭も何一つ上手くはいっていないのに、俺は何が楽しいのか。
それでも俺はゆっくりと立ち上がり服を身につける。
 コートのポケットに何かが入っていた。
今日この店に入るときに貰ったチョコレートだ。
俺はそれを熊の枕もとへと投げた。
「甘い物は好かんからな。」
 一瞬驚いた顔を見せた熊にそう言うと俺は部屋を出た。
家に帰らなくては。
例えそこに何もなくとも、俺は家に帰る必要があった。
今日はまだマシなほうだろう。
家に帰ってもおそらく妻と間男だけだ。
家に帰ってゆっくり眠れる。それだけが俺にとって救いだった。
 俺は家の扉をくぐり、すぐに鍵をかける。
二階から、妻と男の声が聞こえた。
もちろんそんな事は日常茶飯事だ。
俺は気にすることなく自分の部屋の扉をあけ、ベッドに倒れこんだ。
ようやく、一日が終わる。今はゆっくりと休んでいいんだ・・・。
そうして俺は眠りに落ちる。
希望のない明日におびえながら。


 今日も、仕事だ。
家で簡単に朝を済ませ、俺は仕事場へと足を向けていた。
雪に半分閉ざされた道を、俺はまっすぐ進んでいった。
この街は北からの異民族侵入に備えて作られた城塞都市だ。
そこを守る軍隊の少尉。それが俺の肩書きだった。
もちろん、それがいやだと言うわけではない。
だが、職場に恵まれているとも思ってはいない。
少尉への出世も、この街に来た事も、この街で結婚した事も、
すべては俺の意思とは無関係だった。子どもの頃から俺は自分の意志どおりになど生きた事がない。
情けない、といわれるかもしれない。だが、俺には「自分の意志を貫く事」ができなかった。
そんな子供時代は一度たりとて過ごしたことはないのだ。
なのにそんな事を、誰ができるというのだ?
毎日のように繰り返されるそんな自問自答に、俺は嫌気がさしていた。
それでも無意味な自問自答を辞めるわけにはいかない。辞めればそれこそ自分が消えてしまいそうに思ったのだ。
 仕事場には、いつもと違う雰囲気が満ちていた。
いや、逆にいつもと同じ、というべきかも知れない。
もはやこういった雰囲気の方が多いのだ。
「少尉。」
 俺に気づいた部下が敬礼してきた。
たしかハリソンとかいう名の狼獣人だ。
「どうした。」
 答えのわかりきった質問をする。
「少佐がお見えです。」
 予想通りの答えだ。
それでも昔は週に1回程度だった少佐の「視察」が最近では週の半分ほどになっている。
ここまでこられてはもはや「視察」ではない。
なにより仕事もはかどらない。だが、俺には逆らう事は許されない。
どのような状況であろうとも上官の命令は絶対なのだ。
「・・・今日のシフトはわかっているな?」
「はい。」
 俺は部下たちにそれだけを確認すると少佐が待つ部屋へと向かった。
扉をノックし、中に入る。返事の確認は不要だ。少佐は俺を待っている。
中には、鎧も剣もはずしくつろいだ姿の少佐がいた。
少佐の見事なたてがみが目に付く。獅子獣人はたてがみが立派なほど男らしいという話を聞いた事がある。
少佐は、俺が知りうる中でもっとも立派なたてがみをもった人であった。
俺の姿を見て、少佐はにやりと笑いカーテンを閉める。
俺もそれを見て、部屋の鍵を確認する。次の少佐の言葉に備えるためだ。
「脱げ。」
 少佐は、開口一番そう言った。
少佐は来るたびに俺を陵辱する。
ある時は服をすべて脱がせて奉仕させ、ある時は装備をすべてつけた上から犯される。
俺が少尉などという、異例の出世をしたのはこのためだ。
本来俺のような若さで少尉などにはなれない。
それも、ノンキャリアである俺が。
 上着からはじめて、一枚ずつ俺は服を脱いでいく。
少佐は俺の体を「扇情的だ」という。
自分で言うのもなんだが、確かに俺の体は人によっては非常に扇情的だろう。
若いころから鍛えていた体はいまだに筋肉がしっかりとついているが、
ここしばらくまともにトレーニングもしていないせいか、うっすらと脂肪がついてきた。
少佐はそれがたまらない、という。
最後の一枚を取り去る。赤黒い俺の一物が姿をあらわした。
 全裸になった俺を見て、少佐は俺の前に立った。
俺は少佐の意思を汲み取り、その場にひざまずくと少佐の股間に顔をうずめた。
上目遣いに少佐を見つめながら必死で臭いを嗅ぐ。
もはやかぎなれた、そして俺が嫌いな臭い。雄の臭いだった。
俺はいつもどおり、舌でファスナーを探り当てそれに牙をひっかけるとゆっくりと引き下げた。
完全に下り切ったのを確認し、開いたファスナーに鼻を突っ込む。
俺の鼻に、少佐の男根が直接ふれた。少佐はいつも下着を着けていない。
俺はそのいきり立ったモノに必死で舌を絡ませ、なんとかズボンから引っ張り出した。
それはかるく20センチはあり、相も変らずの巨根振りである。
俺はそれを咥えることなく舌だけで必死に舐めまわした。
少佐は俺をただ黙って見つめるだけで何も言わないし、何もしようとしない。
傍からみれば俺から求めているようにしか見えないだろう。
「いいぞ。」
 少佐の口から、やっとそれだけが発せられた。
許しを貰った俺は少佐のモノをゆっくりと口に含んでゆく。
俺の口が一杯になっても、少佐のモノは俺の口からはみ出ていた。
俺は舌を使いながら、ゆっくりと前後の動きを開始する。
「うう・・・。」
 少佐から、うめき声と潤滑液が漏れる。
俺は口の中に湧いてきた液体を飲み込みながら、少佐に対する愛撫を繰り返した。
少しずつ早く、激しく変化させながら俺は少佐の玉をもんだ。
「はぁぁ・・・。」
 少佐は声とともにゆっくりと腰を動かす。
俺の口を少佐の男根が出入りするたびに、湿った音が部屋中に響く。
腰を抱えるように俺は腕を回して、さらに深く少佐を飲み込んだ。
「いいぞ・・・。」
 少佐のモノがより固くなる。
俺は少佐の絶頂が近いことを予感し、口から吐き出すと壁に手をついて尻を差し出す形をとった。
ずるり、と少佐の唾液にまみれた指が侵入を開始する。
一本、二本と徐々に本数を増やし、俺の中で少しずつ動きを激しくしていく。
「うっ・・・くぅ・・・。」
 俺のうめき声を無視し、少佐は指をさらに激しくしていく。
「少佐・・・もう。」
「そうか。」
 そういうと少佐は指を抜き、熱いモノをあてがった。
それは俺が覚悟をするまもなく、一気に俺の中に進入を開始する。
「・・・ぁあっ!」
 思わず声が漏れる。
少佐のものは一気に根元まで入ってきていた。
だが、それはありがたい。男のモノが入るときは雁首のところが一番いたむのだ。
俺の締りが適当に緩んだころを見計らい、少佐は少しずつ動きはじめた。
「うぅ・・・。くっ・・・。」
 徐々にその動きは強く、速くなり俺を攻め立てる。
同時に唾液にまみれている少佐の手は俺の股間をもてあそぶ。
俺のモノは少佐の手の中でよだれをたらすほどに大きくなっていた。
「相変わらず感度がいいな。」
 蔑むように言われる言葉におれは何も言い返さない。
決して少佐とのSEXを求めているわけではない。
これは、ただ前立腺を刺激されたことによる生理的な反応だ。
俺はそう自分に言い聞かせ、少佐が少しでも早く達するように必死で腰を振りつづけた。
少佐は腰と、手の動きを早め俺を攻め立てる。
二人の荒い息が部屋中を支配する。
やがて、俺に先に限界が訪れた。
「い、イクっ!」
 その声とほぼ同時に、俺は少佐の手の中に精液を吐き出した。
「いいぞ、俺もそろそろ・・・。」
 少佐は俺の精液にまみれた手を動かしつづけながら、やがて俺の中で精液を撒き散らした。
しばらくの沈黙の後、俺は少佐にベッドに押し倒された。
俺の仕事はまだまだ終わらない。今日の第二ラウンドはベッドの上にきめたようだ。
正常位で、いまだに萎えていないものを出入りさせながら少佐は俺に口付ける。
「んんっ・・・。」
 この姿勢でのSEXは俺の前立腺をもっとも強く刺激する。少佐もそれがわかっているからこそこの姿勢を好む。
先ほど果てたはずの俺のものもすでにその固さを取り戻していた。
「今日もたっぷり楽しませてやろう。」
 少佐の声を聞きながら、俺はゆっくりと腰を振る。
雄ライオンによる辱めは、一日中続いた。

 

 家に帰ると、義父の姿があった。
「ああ、リング君。遅かったじゃないか。」
 飲んでいた酒をおき、すっと俺の傍らに立つ。
「すいません。」
 義父は、人間だ。
くすんだ金髪に、顔中を覆う髭。軍人であった体はいまだに衰えていない。
その目はいまだに凛々しさを残していて、今でも軍隊の中では恐れられる存在だ。
だが、この家では事情が違う。
彼の凛々しいはずの目は、色欲でいっぱいだった。
「ローが来ていたのか?」
 少佐の事だ。義父は少佐の元上司である。
俺が妻と結婚したのも、そういう関係からであった。
「はい。」
 俺は義父に股間をもてあそばれながらも、微動だにせずに返事をした。
「そうか、たくさん楽しんだのだろう?」
 そういいながら義父は俺のファスナーを下げ俺のまだ萎えているモノを取り出した。
「・・・はい。五度ほど絶頂に達しました。」
 俺は聞かれた質問にはすべて答えなければならなかった。
 義父は酒を手に取り、自らの手にまぶすと俺のものをしごき始めた。
「だが、足りないんじゃないのか?」
「・・・・・・・・はい。」
 俺の言葉に満足したのか、義父はそのまま俺のモノをしゃぶり始めた。
絶妙な刺激を受け、俺のものは一気にいきりたつ。
義父をそれをしばらくしゃぶりつづけると、満足したのか口から俺を吐き出した。
顎でテーブルを示す。
俺は心得たようにその上に仰向けになった。
「いくぞ。」
 ズボンを脱いだ義父は俺にまたがり、今度は下の口でゆっくりと俺をくわえ込んでいく。
「はぁぁぁ・・・くっ・・・ぅうう・・・。」
 父のうめき声とともに俺のものはすっかり飲み込まれてしまった。
「どうだ・・・いいだろう・・・?」
「はい・・・。」
 義父は俺を締め付けながらゆっくりと前後に動く。
その締め付けは絶妙で、すぐにでも達してしまいそうだった。
俺は義父の腰をつかむとゆっくりと動きをあわせる。
これが終われば今日はゆっくり休めるのだという思いから、俺は必死で義父を抱いた。
「いいぞっ、もっと奥にこい!」
 俺はそれに体で答えた。
「いいっ、いくぞっ!!」
 声とともに義父は俺の上にぼたぼたと精液を漏らす。
俺も義父の中に吐き出し、それで義父とのSEXは終わりを告げた。
俺は後片付けを済ますとそのままベッドに倒れこむ。
一日がやっと終わったという安心感と明日起こるであろう事を予測し、おびえながら眠りについた。

 

 その日起こったことは、今までとは全く違った。
俺は予想外の人物に出迎えられた。
「大佐・・・?」
「久しぶりだな、リング少尉。」
 俺は思わずその場に立ちすくんだ。
俺と同じ、虎獣人。だが、彼は色素を持たないアルビノと呼ばれる個体である。
鮮やかな銀の毛並みに黒い縞模様は同じ虎である俺から見てもあこがれの対象となりえた。
くわえて俺よりも一回り大きな体格、理知的な瞳。
誰もが彼にあこがれていた。
「どうした、少尉。私がいるのがそんなに不思議かな?」
「も、申し訳ありません。少佐が視察に来たばかりでしたので。」
 とっさに敬礼をし、俺はその言葉になんとか答えた。
大佐は俺の答えに微笑を浮かべている。
 大佐が来てくれたのは俺にとって嬉しいことであった。
少佐による理不尽な陵辱も、一時的にとはいえこれで止まるだろう。
大佐は真面目な人だ。
視察という名目で来ている少佐が仕事をしていなければ、許しはしないだろう。
しばらくは仕事に専念できるという、一般的には常識であることが今の俺にはとても嬉しかった。
「少佐は今どこにいるかわかるか?」
 大佐がそうたずねてきた。
「はい、こちらです。」
 俺は大佐の前を歩き、少佐が休んでいるはずの部屋へと向かった。
この街を守るために作られた、見張り台も兼ねた兵たちの詰め所はお世辞にも大きいとはいえない。
俺と大佐はすぐに少佐が休んでいる部屋にたどり着いた。
「ロー少佐、起きているか。」
 俺がノックする前に大佐は中の少佐に、軽い詰問口調で呼びかけた。
「・・・誰だ?」
 半分寝ぼけた顔をした少佐が顔を出す。
おそらく今まで眠っていたのだろう。
しかしその顔も、大佐の顔を見てすぐに覚醒したようだった。
「大佐!?どうしてここに・・・。」
「君がいつも『視察』にきているのはどんなところかと思ってね。」
 傍から見ていてもわかるほどに狼狽した表情を浮かべた少佐に、大佐はにっこりと微笑みながら答えた。
少佐は口篭もりながら必死で説明しようとしているが、大佐を納得させる答えは出そうに無い。
それはそうだ、いつも俺を抱いているだけなのだから。
「リング少尉、君は仕事に戻りなさい。」
 しどろもどろの説明を続ける少佐を手で制しながら大佐はそう言った。
俺は敬礼をすると、その場を後にした。

 

 その日は久々に仕事に専念することができた。
もっとも、異民族の侵入などが実際におこってこない以上俺たちの仕事は見回り程度しかないのも事実だが。
それでも誰にも邪魔されず仕事に没頭できるのはすばらしいことだった。
日も傾き、俺の仕事もそろそろ終わるかと言うときに、大佐が俺を呼んだ。
廊下で突然呼び出された俺はちょうど通りすがった部下に手にもっていた書類を任せることにした。
「ああそこの・・・ハリソンだったか。この書類を俺の机の上に置いておいてくれ。」
 突然呼び止められた部下は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに「はい。」と短い返事をすると書類を受け取り去っていった。
俺はそのまま大佐がいる場所へ向かう。そこは今朝、おれが案内した少佐の部屋であった。
「失礼します。」
 ノックをして扉をあけるとそこには大佐と少佐がいた。
「お呼びでしょうか?」
「ああ・・・。」
 大佐が椅子から立ち上がり俺の方へと歩み寄る。
「そろそろ私たちも仕事をしようかと思ってね。」
 ふと、生臭い臭いが俺の鼻を突いた。
男なら、誰でもかいだことのある匂いだ。
不審に思って俺は少佐を見た。
悔しそうな、それでいてあきらめたような、なんとも判断のつかない表情を浮かべていた。
 大佐が俺の前まで来て足を止めた。
自然と大佐の顔が俺の目の前に来る。
「今日は私の為に・・・だ。」
 そういって大佐は俺の股間をもみしごいた。
「大佐・・・?」
 信じられなかった。
少佐には何度となく犯されている。
だが、俺の知る限り大佐はそんなことをする人物ではなかった。
しかし、現実として大佐の手は間違いなく俺の股間をもてあそんでいる。
鼻をくすぐるこの臭いも、大佐と少佐が発している臭いだろうか。
俺は一気に絶望の淵へと突き落とされた。
「さっさと脱いでくれ。」
 俺をベッドに向かって突き倒し、いつもと何ら変わらぬ表情で大佐はそう言い放った。
一瞬俺は少佐に目をやる。
彼は複雑な顔で俺を見つめていた。
俺は、大佐の視線に促されるように身に付けているものを一枚一枚脱いでいった。
「いい体だな。」
 俺が最後の一枚を脱ぎ去ったころ、大佐は再び椅子に座りなおしお茶を飲みながらそう言った。
大佐は俺が脱いでも動こうとしない。
おれはどうするべきか迷いあぐねて、大佐を見つめつづけた。
「そのまま、そこで自慰をしてくれ。」
 その言葉に俺は戸惑った。
だが、大佐も少佐もそれ以上は言葉を発しない。
逆らうこともできず、俺はいまだ垂れ下がったままの自分の性器を手にとった。
ベッドに腰掛けたまま、二人の視線を感じながら俺は自分に刺激を加えつづけた。
しばらくはなんの反応も得られなかったが、物理的な刺激を与えつづけたことにより俺はやがて勃起してしまった。
二人の視線が一点にそそがれるのが良くわかる。
だが羞恥を感じているはずの俺は、その視線により先端から潤滑液を分泌していた。
俺は目を閉じた。
二人の視線から逃げるために、自分の感度を高めてはやくこの時間が終わるように。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
 荒い息遣いが聞こえる。
大佐のものか少佐のものか。あるいは自分のものかもしれない。
俺にはもはや判断がつかなかった。
俺の先端と手がこすれるたびにぐちゅぐちゅと卑猥な音がする。
俺はさらに手を動かす速度を上げた。
「ああ・・・大佐、もう・・・もういきます。」
 俺の言葉に大佐は何も言わなかった。
俺はそのまま、うめき声をあげながら自分の体に大量の精液を吐き出した。
 それとは別に顔になにか生暖かいものがふりそそぐ。
目を開けてみれば、いつのまにか近くに来ていた少佐が俺の目の前で自慰をして俺の顔に多量の精液をふりかけていた。
そのことを確認する前になめてしまったため、俺の口の中には少佐の精液の臭いが充満している。
「これで・・・よろしいですか。」
 俺の言葉に大佐は静かに首を振った。
「まだ君自身は満足していないようだ。場所を変えてもう一度、だな。」
 大佐の視線の先にはいまだ衰えない俺の男根がある。
もう一度しろ、というのはわかるが場所をかえて、というのは・・・。
「次はトイレにでもいってもらおうか。もちろんそのままで。」
「そんな!」
 こんな姿を部下に見つかっては言い訳のしようが無い。
だが大佐はそんなことは全く気にもとめていないようだ。
「ここからトイレはそう遠くない。そのままの格好で、個室に入って自慰をするんだ。もちろん扉はあけたままで、な。」
 大佐の命令といえど、俺にはそれを実行する勇気はない。
俺がなんとも言えずに困り果てていると大佐は相変わらずにこやかな笑みでこういった。
「それとも、今すぐここに君の部下を呼んでオナニーショウでもするかい?」
 幸い、仕事がもうすぐ終わる時間だ。
みな帰り支度や書類のまとめなどをしている時間だろう。
俺は意を決して全裸のまま部屋を出た。
ありがたいことに廊下には誰の姿もない。
俺は全速力でトイレに駆け込んだ。
大佐の指示どおり個室にはいると便座に腰掛け、すぐにオナニーをはじめた。
ただ大佐の命令を守るためだけに、おれは必死で肉棒をこすりつづけた。
顔についた少佐の精液を手にとり、潤滑液代わりにして一心不乱に俺は自分の肉棒をこすりあげる。
射精したばかりで敏感になっているのに加え、部下に見つかるかもしれないという状況に俺は異常な興奮をし、あっという間に絶頂に上り詰めた。
先ほどよりさらに多量の精液が勢い良く壁にたたきつけられる。
俺は手についた少佐と自分の精液をかるくなめると後始末もせずにそのばから立ち去ろうとした。
だが、個室からでたちょうどそのとき。
数人の部下がトイレに入ってきた。
「少尉・・・?」
 驚いた表情を見せている。
それはそうだ。トイレに入ると自分の上司が全裸な上に精液まみれ、しかも股間には隆々と天をつくようにそそり立った肉棒。
入っていたトイレにはべっとりと精液がついている。
驚いた顔の後ろに、決して耐えることの無い微笑みが見えた。
「リング少尉、こんなところで何をしているんだ?」
 大佐の質問に、俺は答えるしかなかった。
「自慰を・・・していました。」

 

 大佐は最初から俺の部下に俺の自慰を見せるのが目的だったのだ。
俺が部屋を出てトイレに入ったのを確認したらすぐに部下をよび俺を探させる。
俺が予想外に早く絶頂に達していたからその瞬間を見られることは無かったが、それでも大佐の計画は成功しているといえた。
そんなことをぼんやりと考えながら俺は目の前に突き出された部下の男根にしゃぶりついた。
今俺は、部下たちに輪姦されていた。
あの後、大佐の命令で俺はそのままの姿のまま部下たち全員にわびを入れた。
そのとき部下の一人が俺を押し倒した。
「そんなにたまってるなら相手してやるよ。」
 大佐に命令されていたのか、俺の姿をみて欲情しただけかはわからない。
だが、その一言で部下たちは皆ハイエナのように俺の体に群がってきた。
俺たちの仕事は定休もなければ夜の仕事になることもある。
みな溜まっていたのだろう、性に飢えた雄たちは俺の体をむさぼった。
尻や口に挿入されるのはもちろん、俺の手をつかって絶頂に達しようとするもの、
俺の肉棒にしゃぶりつくもの。順番が待ちきれず俺の毛皮に己の男根をすりつけるもの。
中には部下同士で快楽をむさぼりあうものもいたが、そのほとんどは俺の体に男根をすりつけ、快楽をえようとしていた。
俺の尻の奥に精液がそそぎこまれたかと思えばすぐにそれは抜かれ、次の肉棒が侵入してくる。
口には二本目、三本目がつぎつぎとねじ込まれる。
俺は腰を振り、舌をつかい、手を動かした。
まるでそれが自分の快楽につながるかのように、俺は部下たちに刺激をあたえ、貪欲に快楽をむさぼった。
「少尉・・・。」
「ほら、少尉。俺のも飲んでくれよ。」
「助平な体ですね、少尉。」
 もはや少尉としての俺はそこにはいなかった。
ただ部下に、男たちになぶられることを喜ぶ性奴隷。
視界の隅に必死にオナニーをする大佐の姿がうつった。
俺たちを見て彼も興奮しているのだろう。
もっとも、俺にはそんなことはどうでもよかった。
俺は自ら勃起している男根を咥え、あまったものを握り、尻を犯しやすいように股を開いた。
誰かが俺を突き上げる。俺はその快感に耐えるように口の中のものを愛撫する。
誰かが俺のものをしゃぶりあげる。俺は快感に耐え切れず、誰かの口に射精した。
俺の中のものも吐精し、尻から口から、精液が注ぎ込まれる。
そのまま俺は気を失うまで部下たちを感じつづけた。

 

気が付くと、見知らぬ天井が広がっていた。
無理にベッドから起き上がると節々が痛む。
自分の体をみると、全裸だった。
昨日のことが思い出される。全裸なのはわかるが、俺の毛皮は丁寧に手入れされていた。
精液がこびりついていたりしない、きれいな体。
なにより見覚えの無い部屋に俺は当惑していた。
「少尉、気づかれましたか。」
 扉が開くとともに、俺の部下が姿をあらわした。
「ここは・・・。」
「大丈夫、俺の家です。」
 見覚えのある顔だった。
確かハリソンという名前で・・・昨日の現場にも居合わせた。
「また、俺を抱くのか・・・?」
 俺の言葉に彼は悲しげな表情を見せた。
「少尉は覚えておられないかもしれませんが・・・昨日のことに俺は参加していません。
気を失われたので、俺の家にお連れさせていただきました。誰にも気づかれていないはずです。」
 彼が言うには、俺は散々犯されたまま放置されていたそうだ。
大佐や少佐がどうしていたのかはしらないが、ハリソンは今のうちだと判断して俺に服を着せ彼の家まで運んでくれた、ということだ。
「そうか・・・。迷惑をかけたな。」
 そういいながら、俺はこれからのことを考えて頭をかかえた。
もはや俺の部下たちは俺の言うことなどはききはしないだろう。
これからは少尉や義父だけでなく、部下たちにも犯される日々が続くのだ。
「少尉・・・。」
 そんな俺をハリソンは心配そうにみつめていた。
「少尉、俺と一緒に逃げましょう。」
 突然の言葉に俺はそのまま呆然とした。
「逃げる・・・?」
「はい。どこか、誰も知り合いのいないところへ。俺、少尉のためならどんなことでもします。どこまでもついていきます。
だから、俺と一緒に逃げましょう。」
 何もいえぬまま、俺は彼の顔を見つめつづけた。
「俺、少尉のことがずっと好きでした。もう少尉のあんな姿みたくありません・・・。」
「ハリソン・・・しかし・・・。」
 家庭と職場を棄てて逃げる、というのは俺には考えもしないことだった。
「ずっとそばにいます。俺だけは絶対に貴方を裏切ったりしません。だから・・・。」
 俺はそれ以上何もいえなかった。
ハリソンもそれ以上なにも言わなかった。
沈黙が場を支配する。
 暖かくもなく、けっして望んで手に入れたわけではない家庭。
いつも上司に犯され、これからは部下にも犯されるであろう職場。
希望の無い未来。
絶望という名の明日。
「ハリソン。」
 沈黙を破ったのは俺だった。
「どこから、逃げられる?誰にもみつかるわけにはいかないだろう。」
「あ・・・、それなら城壁が一部崩れている場所があります。そこから逃げれば・・・。」
 それを聞いて、俺は決断した。
「ハリソン、俺を連れて逃げてくれるか?」
 一瞬驚いた顔を見せたハリソンも、すぐに明るい顔になり「はい!」と元気良く答えた。
結局、いつもどおり流されているだけかもしれない。
それでも、俺はこの男と逃げることにしたのだ。
こいつとともに逃げて、どのような生活をしていくのかはわからないが、今のままよりはずっとましなはずだ。
とにかく逃げよう。
「ハリソン、長い付き合いになると思うがよろしく頼むぞ。」
「はい!」
 俺の言葉に、彼は暖かい笑みで返してくれた。