「戻ったぞ。」
 いつもの仏頂面で、シグは扉をくぐった。
「あ、店長おかえらなせ〜。」
 そのシグをむっとした酒の臭いが出迎える。
思わず顔をしかめるシグ。
「酒か。」
 みればメイスンは下着一枚の姿で一人で酒を飲んでいた。
すでに出来上がっているようで、顔以外にも全身の肌がほんのりと赤くなっている。
そんなメイスンを見ながら、シグはなれないネクタイを軽く緩めた。
「てんちょお〜、お見合いどうでした〜?」
 酒臭い顔を一杯まで近づけながらメイスンが言った。
その目は完全に据わっており、
いつもの幼いイメージは完全になくなっていた。
「わからん。」
 メイスンの肩を軽く押し、顔を背けながらシグは言った。
実際今までに何度も断られてきた身として言えば、今日もダメだろうという手ごたえであった。
それでも、多少の見栄を張りたくてシグはそう答えたのである。
だが、その答えがまずかった。
「じゃあ…結婚するかも知れないんですね。」
 メイスンは俯いて、小さな声でつぶやいた。
「もともとそれが目的で…メイスン!?」
 突然メイスンが抱きついてきた。
大きな体にメイスンの太い腕が回される。
「イヤです…。店長、結婚なんかしちゃいやです…。」
 涙交じりの小さな声が聞こえてきてた。
シグは何がなんだかわからず、メイスンの肩をそっとつかんだ。
しっとりと汗ばんだ肌が手の平にすいついてくる。
「オレ・・・、店長のことが好きです。」
 メイスンは涙で濡れた顔をあげて、そう言った。
「な…」
 何を。
そういいかけて、シグは言葉に詰まった。
自分の太ももの辺りに固いものが押し付けられている。
下着一枚のメイスンは何も持ってはいない。
それが男のモノであることはすぐにわかった。
どうしていいかわからず、シグがメイスンの肩をだいたまま呆然としていると
メイスンの顔がシグの髭面に近づいてきた。
とっさに払いのけることも、交わすこともできずそのまま唇を奪われる。
「…!」
 シグの口の中に、メイスンの舌が進入し口の中で暴れまわる。
それはとても官能的だった。
何がなんだかわかっていないシグも、舌の動きに魅せられて
思わずそのまま任せてしまう。
 やがてメイスンがそっと顔を離すと、二人の間に唾液の糸がひいた
言葉をなくして二人が見詰め合う。
そして一瞬の後に、シグはメイスンに組み敷かれていた。
再び、今度は軽いキス。
「店長…店長、好きです。店長。」
 そう言いながらメイスンは覆いかぶさるように抱きついてきた。
「や、やめ…。」
 殴り飛ばせばいいのか、押しのければいいのか。
それすら判断することができないほどに混乱していたシグは、必死で口だけで抵抗していた。
その間にもメイスンの舌は頬を這い、耳の穴を愛撫する。
「うっ…。」
 耳の穴にねっとりとしたやわらかいものが入り込む。
それはシグにとって未経験の感覚だった。
男に抱きつかれ、耳を愛撫され、
そのうえ股間には相手の逸物が押しつけられている。
それでもシグは力ずくで跳ね除けることができなかった。
「店長…。」
 メイスンは耳元で囁くと、今度はゆっくりと首筋を舐める。
その刺激に、久しく処理をしていなかったシグは思わず反応した。
「…っ!」
 そこを弱点と捉えたのか、メイスンはそのポイントを執拗に攻めてくる。
固いものを押し付けられた股間が徐々に膨らんできた。
それを感じ取ったのか、メイスンは首筋から顔を上げてシグの顔をじっと見つめる。
シグは、覚悟を決めた。
「…好きにしろ。
ただし、今日だけだ。」
 その言葉に、メイスンはいつもの笑顔を取り戻しシグに口付ける。
今度はシグも、精一杯それに答えた。
濃厚な口付けを交わしながら、メイスンはシグの股間をまさぐった。
まだ半立ちにすぎない大きなものが手の中にある。
嬉しくなって、メイスンは服を脱がせる暇も与えずに、
シグの逸物を取り出した。
一旦シグから体を離すと、メイスンは躊躇なく股間に顔をうずめた。
ねっとりとした感触がシグの逸物を襲う。
フェラチオをされるのはずいぶんと久しぶりだった。
「ぐうぅ…。」
 思わずうなり声が漏れる。
あっという間にシグのモノは勃起した。
その巨根はメイスンの口に入りきらず、大きくはみ出してしまう
雁首に歯で刺激が加えられ、
舌が絡みつき、そしてサオ全体が強く吸い上げられる。
メイスンの舌技は絶品とよぶにふさわしかった。
「メイ…スン…っ!」
 早くも絶頂を迎えようとしたときに、メイスンはシグから口を離した。
唾液でぬらぬらと光る、黒く大きなサオがゆらゆらとゆれた。
 不審に思い、シグが仁王立ちになったメイスンを見上げる。
「店長、オレのモノちゃんと見といてくださいね。
これでも仲間内では結構評判になったほどのものでして。
あ、でも店長のモノに比べたら見劣りするのはまあしょうがないですけど。」
 いつもの饒舌なメイスンに戻っていた。
シグはその言葉を聴きながら、下着を下ろすメイスンを見つめていた。
「…!?」
 巨大なものが反り返っていた。
太い血管が絡みついたそれは、おそらくシグをも上回る。
同じ屋根の下で暮らしている以上、今までメイスンの全裸を見たこともある。
だが、勃起するとココまで大きくなるとは思わなかった。
「さあ…。」
 メイスンのものが眼前に突きつけられた。
シグは目を閉じて、それの先端をそっとくわえ込む
必死でしゃぶるシグの舌がメイスンを刺激する。
憧れの人にしゃぶられている、とただそれだけでメイスンは興奮していた。
髭がメイスンの幹をこすり、舌が先端に巻きつく。
「ああっ、てんちょっ…!」
 あっという間にメイスンは果てた。
思わず口を離したシグの顔に、白い体液がダラダラと降りかかる。
一度射精したにもかかわらず、メイスンのモノは萎えていなかった。
それどころか精液にまみれたシグをみてさらに角度を挙げている。
「すいません、店長。ちょっと早かったですね。
まあ、でも…。次は店長の番ですから…。」
 そういってメイスンはシグの顔にかかった精液を手に取ると、
自分の尻に塗りたくった。
「おっと、その前に。」
 メイスンはシグの首にだらしなくからみついているネクタイを取ると、
そのままシグに目隠しをした。
「おい…。」
 だがシグの言葉は無視される。
目隠しをされ、股間だけを露出したまま床に寝かされたシグは困惑していた。
「今日だけ、なんて撤回させて見せますよ。」
 メイスンの言葉と同時に、シグのモノに強い刺激が加わった。
「ううううぅっ!」
 シグのうなり声があたりに響く。
「あっ…店長…ふとっ…。」
 根元まで飲み込んだらしく、シグの腰にメイスンの尻が押し付けられた。
久しぶりの肉の快感に、シグの理性はあっという間に吹き飛んだ。
筋肉が付いて、強く引き締まったメイスンの腰をむんずとつかみ、
下からあらん限りの力で突き上げる。
「あああっ!てんちょうっ!つよっ!」
「ああっ、んっ、はんっ!」
 強く突き上げられるたびにメイスンの口から嬌声が漏れる。
目隠しをされ、相手が男であるという抵抗が薄れたシグは、
上体をおこすと力の限りメイスンを抱きしめた。
今までの女と違い、どんなに手荒に、
どんなに欲望のままにあつかっても文句をあげないメイスンは
シグにとって理想の相手であるとも言えた。
 シグはメイスンを抱きしめ、熱いキスをする。
シグの濃い髭がメイスンの顔にこすり付けられた。
「んん、んんっ!」
 それでもメイスンの嬌声は止まらない。
シグの逸物がメイスンの内壁をこすりあげる。
もはやメイスンは、興奮で気が遠くなりかけていた。
突然口が離され、シグがほえる。
「メイスン、いくぞっ!」
 奥深くまで挿入されたシグの先端から、大量の精液が漏れ出した。
メイスンもまた、手も触れぬまま先端から精液を垂れ流していた
 それからシグは、一晩悩んだ。
メイスンの気持ちはわかっても、やはり男同士でしたことには抵抗がある。
だが、思い出すだけで勃起してしまうほどの快楽も捨てがたい。

そして、シグは心に決めた。

翌朝。

「メイスン…、その、昨日の夜のことだが…。」
 その言葉にメイスンはきょとんとした顔をする。
「昨日の夜…ってなんかありましたっけ。
店長がお見合い行って、そうそう店長が帰ってくる前にオレ一人で
酒飲んで酔いつぶれてねちゃったんですよね。いやあ、すいません。
まさかあんなに酔うなんて思っても見ませんでしたよ。」
「…?」
 どうやら、メイスンは酒のセイでなにも覚えてはいないらしい。
「…。」
「店長?」


「うがああっ!」
 シグの叫びが店に響いた。