月夜の散歩
「そろそろご飯にしようかー。」
「ん、ああ。」
俺の言葉に褌姿のランスは生返事を返した。
ランスはつい1週間ほど前からうちで暮らし始めた虎獣人だ。
うちのマンションのゴミ捨て場に倒れてたのを俺が拾って犯したのが縁で一緒に暮らしている。
来たばかりの頃は何でも珍しそうにいじっていたものだが、
最近は俺が教えたTVゲームにはまっている。
今プレイしているのは「メルシー!ブラッド・ロアえくすとら」という、
対戦恋愛料理ゲームだ。
なんでも対戦パートと恋愛パート、料理パートが相互に関係しているらしいが、
購入した俺自身にもどういうシステムなのか良くわからない。
ちなみにランスは対戦パートのみを繰り返している。
持ちキャラは虎に変身する「リュウ」というキャラだ。
微妙に肉球の残った手で器用にコントローラーを扱っている。
逆に肉球があったほうがコントローラーが手にフィットするようだ。
「ランス・・・全然もててないよ?」
格闘パートばかり繰り替えすランスに俺は後ろから抱きつくようにして茶化した。
ランスは苦い顔をして手を激しく動かした。
画面では「リュウ」が最終奥義「マウンティング・イン・ザ・ダーク」を繰り出し
暗闇の中で敵キャラである獅子と「リュウ」のうめき声だけが聞こえていた。
「いいんだよ、もてなくても。」
そう言うとランスは振り向きザマに俺の鼻の頭をぺろ、っとなめた。
意外な行動に俺は動きが固まる。
その間にランスは俺の腕をすり抜けて1人ダイニングへと向かった。
画面では前のめりに倒れた獅子と勝利のポーズをとっている虎の姿が映っていた。
「ごめんね、役に立たなくて。」
俺は今日の晩飯のハヤシライスを口に運びながらそう言った。
「なに、見つからんものはしょうがないさ。」
そういってランスはハヤシライスを掻き込んだ。
その後1人で目を白黒させている。
猫舌なのに一気に食べるから・・・。
「でも元の世界に戻りたいんでしょ?」
「ま、まあな・・・。」
火傷した舌を冷水で冷やしながらランスは頷いた。
一応俺はランスが元の世界に返れる手がかりを探して図書館めぐりをしていた。
とはいっても「実録!異世界からの使者!」なんて本が転がっているわけでもない。
せいぜいが異世界を旅行する女の子の話だとか、
異世界で勇者と呼ばれる青年の冒険をかいた小説くらいのものだ。
それもジュニア向けのものばかり。
そんなものを呼んだところで参考になるはずもないのだが、
ほかに手がかりがない以上しょうがなくそれらを読む日々である。
ランスなどはまるで人事のようにそれらを読み、楽しんでいる。
ランスは帰りたくないんだろうか。
『帰りたくないの?』と聞けば『帰りたいさ』と返してはくるんだけど・・・
行動を見る限りではどちらでもいい、といった感じだ。
俺としてもランスにはずっといて欲しいし、
この状態が続くならいいんだけど・・・。
そんなことをぼんやりと考えながら俺は晩飯を食べ終えた。
シャワーを浴びた後は「お楽しみ」タイム。
ランスから求めてくることはないが、
俺が求めれば彼は俺が満足するまで付き合ってくれた。
今日も、そんな彼に付き合ってもらおうとウキウキ気分でシャワーを浴びる。
この時のために生きているようなもんだ。
俺はわくわくしながら全裸のままでバスルームから出た。
「ラーン・・・ス?」
ベッドルームに飛び込むが何時ものようにベッドの上で俺を待っていてはくれなかった。
ランスは褌姿のままカーテンを少しだけ開け、ベランダから外の様子をうかがっている。
「何してるの?」
近づいていって俺が声をかけると、ようやくランスは俺に気づいたようでこちらを振り向いた。
「ああ、ヨシキ。もうでたのか。」
そういって俺の頭を大きな手でぽん、と叩く。
俺はランスの向こう側に見える外の景色を覗き込んだ。
何時もと変わらない、普通の風景。
「よし、寝るか。」
そういってランスはベッドへ向かう。
何で外を・・・ああ、そうか。
俺はすぐに思い当たった。
もう一週間、ランスは外に出ていないのだ。
ランスはインドアなタイプには見えない。
今でこそTVゲームなどしているが、元々は外を走り回るのが仕事みたいなもんだったのだ。
外に出たい気持ちは良くわかる。
「なんだ、寝ないのか。」
ベッドに腰掛けたままランスがそう言った。
「ランス・・・外、いく?」
俺の言葉にランスは呆然とした顔でこちらを見つめた。
ずっとでてはいけないと言いつづけた俺が外に出ようかと言い出したのだ。
まあビックリするだろう。
「しかし・・・いいのか?もし見つかったら・・・」
「見つからなかったらいいんだよ。」
そこでランスは再び絶句。
心なしか頭を抱えているようにも見える。
「・・・はじめて知った。お前、楽天家なんだな。」
ランスは苦笑しながらそう言った。
なんだかんだいいつつも、結局外に出れることが嬉しいのだ。
「なんだか、空が狭いな・・・。」
褌の姿から甚平を着込み、外にでたランスの感想はそれだった。
「まあ、こっちには高いビルとかあるしね。しょうがないよ。」
「それもあるんだが・・・。」
どうも建物が多いだけでなく、
故郷の空と今見ている空の違いを何か感じ取っているらしい。
ランスは何とか口にしようとしていたが、結局言語化はあきらめたようだ。
「でも、風は気持ちいい。」
そういってランスは目を閉じた。
彼の顔をなぶるように風が過ぎ去っていく。
彼の揺れる髭だけがその存在を視認させた。
あまり表情にはでていないが、彼の尻尾はご機嫌にぱたぱたと揺れている。
外にでてよかった、と思った。
「あっちの方にもいってみようか?」
俺たちが住んでいるマンションから少し離れた方向へ歩く。
もともと都会の方に住んでいるわけではないので、0時を過ぎた今では人通りは殆どないが
念には念を入れて街灯がすくない道を選んで歩いている。
ランスは虎なので夜目が利くし、俺はランスに手をひかれて歩いている。
そのおかげで何かにぶつかったりすることはなかった。
俺も俺でランスとデート気分である。
からからとランスの下駄が立てる音を聞きながら俺はランスの背中を見つめた。
後で落ち着ける場所にでたら、この背中に抱きついてもいいかな・・・。
ふらふらと街灯が少ない道を歩いていると、やがて公園にでた。
この辺りではけっこう規模が大きく、一番自然が残っている場所だ。
「ここは・・・けっこういいな。」
ランスの尻尾はさらに激しく動き出す。
造られた自然ではあるが、みどりの少ない街中よりはずっとマシだろう。
俺たちは手をつないだまま公園を一周してみた。
「!?」
ランスが突然怖い顔で振り向いた。
「えっ?」
何事かとランスの視線を追う。
だがそこには白々と街灯が輝いているのみであった。
「気のせい、か。」
そう言うとランスは俺の手を引き、茂みの中へと入っていく。
ずいずいと茂みを掻き分け、青い芝生の上にでるとその場に座り込む。
「ここなら誰にもみつからんだろ。」
そう言うと彼は仰向けに寝転んだ。
確かに茂みに隠されるような位置にあたり、ここで寝転んでいたら仮に誰かが通っても見つからないだろう。
俺も安心してランスの隣に寝そべった。
そっと彼によりそってみる。
彼は機嫌よく俺を抱き寄せてくれた。
「ランス・・・。」
俺の言葉にランスはこちらを向くと軽く鼻の頭を舐めた。
俺は嬉しくなり彼の鼻を舐め返すと、彼の厚い胸に顔をうずめた。
甚平がはだけ、彼の胸が露出している。
いけない。
こんな場所で・・・。
と、ランスが俺の顎をつかみ上を向かせた。
彼とまともに視線がぶつかる。
「ヨシキ・・・いいか?」
そういいながら彼は俺の尻を撫で始めた。
ここでするの?という思いと、初めて彼から求めてくれた驚き・喜びが混ざって俺は声を出せずにいた。
その間にランスは手際よく俺の短パンを脱がしてしまう。
そこまで来ると俺も動き出していた。
ランスの甚平を脱がすため、前を閉じている結び目を引きゆっくりとほどいていく。
結び目が解け、はらりと前が開いた。
逞しい胸にうっすらと乳首が見える。
俺はそこを舐めながら今度はズボンを下ろしにかかった。
下着姿で芝生に横たわりながら俺たちは強く抱きしめあった。
ランスの舌が俺の耳を舐め、首筋、胸とゆっくりと降りていく。
俺は抵抗も出来ず、息を荒げながら直接的な快感が襲ってくるのを待っていた。
ゆっくり、ゆっくり舌は降りていき俺の臍を舐める。
そこから更に下ると俺の下着を引き摺り下ろしながらゆっくりと舌は俺のモノを捕らえた。
「ああっ・・・。」
咄嗟に口を抑える。
声を出していたら誰かに見つかるかもしれないのだ。
しかしランスのざらついた舌に舐められたらそれだけで快感だ。
俺は口を抑えながら必死で声を抑えた。
やがて俺のものからランスが顔を上げる。
その間に俺は態勢を入れ替えると褌の脇から大きく立ち上がったランスのモノをつかみ出し、
それを丹念に舐め始めた。
先端からあふれる汁を舐め、飲み込みながら俺はランスに奉仕する。
太い幹や絡みつく血管、張り出したカリ首。
舌で舐めるだけでその立派さが手に取るようにわかった。
興奮しながら俺はそれを舐めまわす。
突然、ランスが俺を彼の股間から引き剥がした。
俺の口から解放されたサオは俺の唾液と自身の体液によってぬらぬらと輝き、
月明かりの元で生きているかのように震えていた。
ランスは俺をそのままひっくり返し足を持ち上げると、
太い指でそっと俺の尻穴に触れた。
「・・・いいか?」
俺が怯えたのを感じ取ったらしい。
それもそうだ。
ランスのような太く長いモノを受け入れた経験はまだない。
一週間前から念入りに拡張はしているものの、どうなるかはまだわからない。
しばらく悩んだ後、俺は意を決して頷いた。
ランスは小さく微笑むと俺の穴に舌を這わせた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音を立てながら、俺の尻はランスの指を飲み込んでいた。
丹念に舐められ、舌を、指を入れられ俺はすっかり感じていた。
尻の奥をなぶられるだけで俺は勃起し、先端からは透明の液体を自分の腹の上に垂らしていた。
俺の尻から三本の指がゆっくりと抜き去られる。
ランスは俺にのしかかり、俺の目を見つめたままゆっくりとその先端をあてがった。
指を抜かれた直後のため、開いた俺の尻はランスの先端を飲み込む。
熱い。
俺はランスの首に抱きつくと耳元でそうささやいた。
「お前の中も凄いぞ・・・。」
ランスもそうささやいてくる。
俺の様子をうかがいながら、ランスはゆっくりと腰を進めてきた。
太いものが俺を無理やり広げていく。
「くぁっ・・・。」
俺が思わず上げた声にランスの動きが止まる。
「いいから・・・続けて・・・。」
俺の言葉にランスは先ほどより更にゆっくりと動き出した。
ゆっくり、ゆっくりと俺の中にランスが埋め込まれてゆく。
やがて、根元まで達したのかランスの腰が俺の腰に密着した。
「全部、入った?」
俺の問いにランスは無言で頷いた。
「ランス・・・好き・・・。」
そう言って俺は更にランスに抱きつく。
と、突然ランスは腰を振り俺を突き上げてきた。
「ひゃっ、ああっ、あっ!」
突然の行為に俺は思わず声を漏らす。
痛みと、わずかに感じる快感、そしてランスに抱かれているという充実感で
俺の勃起からは相変わらず液体があふれ出ていた。
「すまん・・・気持ちよくて、我慢できない。」
そういいながらランスの腰は更に激しさを増していく。
俺にも快感を与えようとランスは俺のモノをつかみ激しくしごき上げた。
「ひいぃっ!いいっ、感じるッ!ランス、ランスッ!!」
俺は前後から同時に攻められ、腰を振り快感をむさぼるしかなかった。
ランスが俺の奥を深々とえぐる。
俺はそれに対抗するように彼の根元を強く締め上げた。
二人の荒い息が重なり、腰がぶつかり合う。
「らんす、らんすっ!」
「ヨシキ、俺もうだめだっ!」
そう言うとランスは俺の腰をつかみ上げ、更に激しく突きたてた。
激しくなった攻めに俺は言葉すら出せずにいた。
「いくっ、いくぞっ!!」
そして、ランスは俺の中に大量のタネを吐き出した。
俺の中でランスはびくびくと動き回る。
俺もいつのまにか、先端から白濁液をだらだらと垂れ流していた。
ようやく息が整い、俺たちはキスをした。
「ランス・・・何時になく激しかったね。」
ランスはやや顔を赤らめると鼻をぽりぽりと掻いている。
「なんだ、その・・・発情期なんだ。」
そういって空を見あげる。
俺もソレに釣られて空を見上げると、空には大きな満月がかかっていた。
なるほど、満月で発情するのか。
となると発情期は月一回。
毎月この激しさが味わえるのか。
「それにその・・・お前が可愛かったからな。」
「え?」
意外な言葉に俺は聞き返した。
「さて、帰るか!」
照れ隠しのようにランスは立ち上がると素早く服を身につけた。
「ちょ、ちょっと待ってよ。」
俺も慌てて服を拾い集め袖を通す。
その間にランスは1人で茂みから出て行った。
「じゃあいってくるねー。」
俺は朝から風呂に入っていたランスに声をかけた。
今日は学校だ。
いくら大学とはいえ一週間も二週間も顔を出さないと不自然だろう。
今日くらいは、と思い俺は学校に向かうことにした。
「ん、気をつけてな。」
全裸で腰に手を当ててコーヒー牛乳を飲んでいたランスは俺の言葉に手を下ろすと
にこやかに微笑んで、俺の頭を撫でてくれた。
「学校来るのも久しぶりだなあ。」
久しぶりに会う友達に手を振りながら俺は教室に入った。
「川村君。」
突然背後から声がした。
慌てて振り向くとそこには1人の女性の姿。
たしか同じ学科の女の子だが、まだ話したことはない。
その子が、何の用だろう・・・。
「えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・月嶋さん?」
なんとか記憶の奥底から名前を引き出した。
彼女は小さく頷くと、再び口を開いた。
「公園で、ああいうことはしないほうがいいと思う。」
そう言うと、俺の隣をすり抜け彼女は教室に入っていった。
見られたッ!!!!
続