這いずり絡みつくもの


 オレは遺跡の探索を終えて一ヶ月ぶりになじみの街へと帰ってきた。
オレの名前はディルス。トレジャーハンターで生計を立てている虎獣人だ。
今向かっているのは俺の育ての親が経営している酒場。
その恩人はオレが獣人であるにもかかわらず拾って、育ててくれた。
恩人の知り合いにも気のいいヒトが多かったため、
オレはひねくれることもなくなんとか真っ直ぐにそだった(つもりだ)。
 今、街の大通りを歩く俺には白い目が向けられている。
この街の人間は差別的なヒトが多く(それが普通なんだが)、
オレがいるだけで露骨に嫌がらせをされたりもする。
まあそんなものにも慣れっこなワケだが。


「おやっさん、ただいま〜!」
 扉を大きく開け放ち、大声でそういうがいつもの威勢のいい声は返ってこなかった。
「・・・あれ?」
 思わず呆然とその場に立ち尽くす。
「あ、ディルス!待ってたのよ!」
 オレがどうしたもんかとその場で頭をかきながらぼんやりとしていると、
奥の部屋から1人の女性が顔を出した。
かわいい顔をしているが、この酒場の手伝いをしているだけあって実は
結構な迫力を持つオレの義姉だ。
「ミリィ、おやっさんは?」
 オレの問いに彼女は顔を曇らせる。
どうもオレがいなかった間に何かあったらしい。
「貴方が出かけてからしばらくたったころから、変な物音が聞こえるようになったの。
その音がどうも地下からするって言うんで、お父さんが下水道からもぐったんだけど・・・。」
「帰ってこないのか。」
 彼女は不安げな表情で頷いた。
「もう何日もたってるし・・・。
気になるけどお父さんがどうしようもない状況で私が見に行っても邪魔にしかなりそうにないし・・・。」
 ちなみに義父は数年前まで凄腕の冒険者として名が知られていた。
はっきりいって今のオレよりも強い。
確かに彼がどうしようもない状況では一般の人間が行ったところでどうなるものでもないだろう。
「わかった、オレが様子を見てこよう。」
 そう言ってオレは荷物もそのままに下水道へもぐることになった。

 

「くれぐれも気をつけてね。」
「ああ。」
 それだけ言うとオレは下水道へと続く穴へ身を躍らせた。
数メートルもない高さを降りただけでかなり強烈なにおいがあたりに漂う。
鼻がそのにおいに慣れるのを待ってから、オレは歩き始めた。
どちらに進んでいいのかまったくわからない以上完全にあてずっぽうである。
歴戦の冒険者であった義父が帰って来ていないことを考えてゆっくりと足音を殺しながら進む。
 そのまましばらく進むがこれといって大きな異変はない。
一つ気になるのは、下水に入ってから一度もドブネズミを見かけていないことだった。
それだけが気になってオレはいまだに足音を殺したまま歩きつづけている。
 汚い空気の中を歩き、それだけで毛皮がどんどん汚れていっている気がする。
遺跡でも砂埃だらけの中を走り回った後なので、正直どうでもいい気持ちもあるが
やはりいい気持ちはしない。
オレはいったん足をとめ、軽く自分の毛皮を撫でつけた。
なんだか落ち着かない。
においに頼れないせいだろうか?
先ほどから注意が散漫になってしまい思うように速度が上がらない。
オレは感覚を研ぎ澄ますため上着を脱ぎその場に放り投げると全身の感覚を研ぎ澄ますようにして再びゆっくりと歩き始めた。
 やがて目の前の曲がり角でオレは確かに違和感を感じ取った。
それが何か、と説明することはできないがたしかにこの先に何かがあると確信していた。
呼吸をなるべく減らし、音を立てないようにしてさらに気配を探る。
やがて聞こえてきた一つの呼吸音。
警戒しながらそれに耳を済ませる。
この呼吸音は・・・。
「おやっさん!」
 オレは思わず飛び出した。
呼吸音が間違いなく聞きなれた義父のものだったからだ。
そして、オレはおやっさんと再会した。
だが、その表情・その状況はあきらかにいつもの義父ではなかった。
目はとろんとして口からよだれを垂らし、なにより彼は全裸だった。
その股間には獣人であるオレにも匹敵しそうなほど大きなものが臨戦体勢で構えている。
オレはあまりの状況に息を呑み、同時に先ほど感じ取っていた違和感のことをすっかり忘れてしまった。
オレの足元で何かがすばやく動く。
「しまった!」
 そう思ったときにはもう遅い。
オレの足には透明な、ゼリー状のものが絡み付いていた。
「スライム!?」
 今まで見たことはなかったが、話だけは聞いたことがあった。
アメーバをそのまま大きくしたようなもので、理性や感情というものはない。
ただあるのは食欲のみ。
一度つかまれば全身を溶かされあっという間に捕食されてしまう、という話だった。
オレの足を伝ってスライムがざわざわと這い上がってくる。
オレはそれを手でつかみ引きはがそうとするが部分的にちぎれるだけで全くはがれない。
自分の体に絡み付いている以上剣を振るうわけにもいかず、
半ばパニック状態であったオレはあっという間にスライムに全身を絡めとられた。


やわらかそうな見た目をしているくせにオレの体はほとんど動かすことが出来ない。
オレは顔をあげ、目のまで全裸のまま立ち尽くす義父を見た。
「おやっさん・・・。」
 どうやら彼も全身をスライムに絡め取られているらしい。
よく見ればその体は半透明なものに覆われていた。
 じゅわ、という音がして俺の服が溶かされていく。
捕食が始まったらしい。
オレはとにかく最後まで抵抗しようと必死で暴れつづけた。
スライムも服を溶かすだけでは飽き足らず、オレの服を直接引き剥がしにかかる。
自由のない俺はあっという間に全裸にむかれてしまった。
オレの体を這いずるようにスライムは動き回るが、不思議なことにオレを溶かそうとはしてこない。
不審に思っていると、突然肛門のあたりに強い違和感を覚えた。
「ぐぁっ!」
 スライムが侵入してきたのだと思い、咄嗟に尻を閉めるがすでに内部に侵入したものはどうしようもない。
体内で暴れまわるスライムにオレはただ声をあげるしかなかった。
今まで排泄にしか使ったことのない場所に侵入され、内部をめちゃめちゃに刺激されることで
オレは便意とともに少しずつ快感を覚えはじめていた。
直腸のあらゆる場所を刺激され、なんとか逃れようと暴れるがスライムはオレを解放しようとはしない。
 そこへ、すっと逞しい腕が伸びてきた。
「おやっさん・・・。」
「ディルス。」
 意識はあるらしく、オレの名を呼びながら俺のサオを握ってきた。
子供のころに風呂場で触られたことはあるものの、こんな状態を彼に触られるのは初めてのことだった。
スライムを潤滑油代わりに亀頭を重点的に攻めてくる。
尻の中で暴れるスライムとあいまって、オレはもう叫ぶしかできなかった。
「がああっ!お、おやっさん!そこはだめだっ!」
 亀頭攻めだけでなく、乳首やわき腹を這い回るスライムにもオレはいつもとは違う快感を感じていた。
もう射精も近いというところで、突然オレのサオは解放された。
快感に耐えるために閉じていた目を開けると、オレの目の前で義父がしゃがみこんでいる。
そして意図を察しているかのようにオレのサオからスライムが引いていった。
「おやっさん、それだけはだめだっ!」
 だが抵抗も空しく、オレのサオはねっとりとした暖かいものに包まれた。
「あああぁぁぁぁぁ・・・・。」
 俺の口からはもう声が漏れることしかなかった。
咥えられるどころか他人に触られたこともなかった完全に童貞のオレは
義父の口の中で何度も何度も吐精した。
射精が終わったのを確認すると、義父は唾液とオレの精液を混ぜ合わせオレのモノに塗りたくるように
頭を前後させ始めた。
「ひぃっ!」
 イったばかりの敏感なものに強烈な刺激を加えられ俺は情けない声をあげる。
視線をおろせば、義父の口ひげの下にオレのサオが消えていく様が見えた。
それだけでオレは興奮し、自ら腰をふり義父の口に自分のモノをいれていく。
もちろんその間にも首筋や乳首、背中などをスライムが愛撫していく。
特に一番強烈だったのは尻にもぐりこんだスライムだった。
どうやら敏感な場所を見つけたらしく、その刺激だけでオレの前から先走りがたらたらと
たれ落ちるほどの刺激を感じていた。
やがてオレのものが口から解放される。
オレが呆然としていると義父の手に押され、ゆっくりと仰向けに寝転ばされた。
見れば彼は口から垂らしたオレの精液を手にとり自分の尻に塗りたくっている。
一瞬何をしているのかわからず、どうしようかと思っていると彼は一気にオレの上に腰を下ろしてきた。
「ぬうっ・・・。」
 彼の口からうめき声がもれる。
オレはオレで、声にならない叫びをあげていた。
口とはまた違った、やわらかい締め付けがオレのサオを襲う。
つらそうな表情を見せながら、義父は自らの腰をオレの腰に擦り付けるように動いた。
「おやっさん・・・オレ、中に、出していいか?」
「ああ・・・。いいぞ・・・。」
 その言葉を聞き、俺は彼の腰をつかむとしたからゆっくりと突き上げはじめた。
「やっ、ああっ・・・。」
「んっ、うううう。」
 オレと彼は同時に、違ったうめき声をあげる。
オレの精液と、間から入り込んだスライムとがぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てている。
「あっ、おやっさん!オレもう、いく、イく、イくッ!」
 目の前で震えているおやっさんのモノを激しくしごきながら、オレは義父の中に大量に射精した。
うめき声をあげ、彼もまた大量に精液を撒き散らす。
スライムの上に落ちた彼の精液があっという間に見えなくなる。

 

 オレは連続の射精に耐えられなくなりふと横を向く。
そこに見えるのはスライムに奪われたオレの装備。
腰につける小さなカバンには、遺跡で見つけた宝が入っているはずだった。
俺達の精液をすするスライムの隙をついてオレはカバンに手を伸ばす。
さすがにスライムも油断していたらしい。
俺の手はカバンの中にあるものをしっかりとつかんだ。
「くらえっ!」
 オレはそれをスライム、つまり自分と義父の周りに撒き散らした。
これは遺跡で見つけた「清めの塩」という宝の一つだった。
塩にこめられた魔力に怯えたのか、スライムはあっという間に俺達の前から姿を消した。
後に残ったのは全裸のオレと、義父。
お互いに気恥ずかしい思いをしながら、俺達はとにかく家に帰ることにした。

 


 俺達はなんとか自分の家に帰って来ることができた。
(義姉のミリィは裸の俺達をみて声をあげていたが。)
風呂に入りさっぱりすると、オレは暗い部屋の中で先ほどのことについて考えた。
おそらくあれは人肉ではなく、精液を主食にする変種かなにかだったのだろう。
俺達は見事にそれにつかまってしまったわけだ。
今回は塩のおかげで助かったわけだが・・・。
 ふと、オレは自分の体に違和感を覚えた。
突然の勃起。
そして体が火照る感覚。
咄嗟にペニスを露出ししごき上げるが、先ほどのSEXほどの快感が感じられない。
そしてようやく思い出した。
俺の中には、スライムが侵入していたのだ。
おそらく奴だけは塩を浴びるのを免れたのだろう。
オレのなかに残ったスライムは再び行動を開始したのだ。
餌を求め暴れるスライムにオレはどうしようもなく、のたうちまわるしかなかった。
どうすればいい?
精液を捕食するスライムが暴れているのだ。
精液を食わせてやればいい。
オレは立ち上がり、義父の部屋へと足を向けた。

 


「ディルス・・・?どうした、まだ気分でも悪いか?」
 オレ同様風呂に入りさっぱりした顔の義父がそう尋ねてくる。
オレは無言で歩み寄り、問答無用で義父を押し倒した。
「ディルス!?」
「俺の中に・・・まだスライムがいる・・・。
苦しいんだ・・・おやっさん、止めてくれよ・・・。」
 オレのいわんとしていることを理解したらしい。
彼は優しく笑うと俺にかるく口付けながら手際よく服を脱ぎ全裸になった。
オレも待ちきれずに自分の服をかなぐり捨てる。
そのまま中途半端に立ち上がった彼のものに舌を這わせる。
彼はオレの後ろをほぐそうと手を伸ばすが、スライムのおかげでもう潤滑油は必要なさそうだった。
オレは待ちきれず、彼のものが立ち上がるのを確認するとあのときの義父のようにすぐにそこに腰を押し付けた。
挿入される快感に酔い、オレは一心不乱に腰を振りつづける。
「もっとよがりやがれ!」
 義父の声にオレはあられもない声をあげて、記憶が残らぬほどに乱れまくった。

 

 

 俺達のみだらな関係はまだまだ続く。